マクロ経済学 ~経済ショックについて考える(AD-AS分析)~

経済

こんにちは!ぐんじです。

今回は経済ショック(コロナショック)をAD-AS分析をもとに考えていきます。

経済ショック

政策を理論的に確認していきます。コロナショックやリーマンショックのような経済ショックは大きく2つにわけることができます。それは需要サイドを起因とした経済ショックと供給サイドを起因とした経済ショックになります。殆どの経済ショックは最初は需要サイド、供給サイド両方がありますが、どちらかの影響が色強く残るものです。

需要サイドによる経済ショック

需要サイドの経済ショックとはコロナショックやリーマンショックのようなものが代表的なものです。コロナショックでは、2020年3月以降の緊急事態宣言により多くの国民が引きこもり状態となりました。そのため、飲食業や観光業の需要が著しく落ち込んだこと(現状でも完全には回復していませんが)が記憶に新しいと思います。

需要ショック時の対策としては、需要回復させることが重要になってきます。政策を行った時期には良し悪しはあるかもしれませんが、需要回復の政策としてgo to travel やgo to eatが行われたわけです。

供給サイドによる経済ショック

供給サイドの経済ショックとは戦後やオイルショックのようなものになります。また、コロナショック後も一時的に供給サイドがダウン(サプライシェーンの遮断)しており、マスク不足等が起ったことから供給ショックの一面もありました。(実際にコロナショック後は供給ショックではないのかという意見も見受けられました。)

コロナ過ではアベノマスクの形で供給ショックを抑えに行こうとしたことや時間の経過とともにサプライチェーンの回復や国内での生産開始等があり需要サイドと比較して、早期に回復することができました。

AD-AS分析からコロナショック時を考える

総需要曲線(AD曲線)と総供給曲線(AS曲線)により物価とGDP(≒国民所得)を決定するモデルです。AD曲線は物価と総需要の組み合わせの集合体、AS曲線は物価と総供給の組み合わせの集合体です。

AD曲線

AD曲線は需要サイドの変動により曲線も移動するため、緊縮財政や金融引締、自国通貨増(円高)になるとAD曲線は左下に移動し、物価、GDPの減少となります。一方で、積極財政や金融緩和、自国通貨減(円安)になると逆にAD曲線は右上に移動し、物価、GDPは増加します。

AS曲線

AS曲線は供給サイドの変動により曲線も移動するため、技術的な進歩や規制緩和等による生産性の向上や生産要素の価格低下、石油等のエネルギー資源が殆どない日本ではエネルギー価格の低下が起こるとAS曲線は右下に移動し、物価減少、GDPの増加となります。一方で、規制強化や生産要素の価格上昇、エネルギー資源の上昇が起こるとAS曲線は左上に移動し、物価の上昇、GDPの減少となります。

豆知識

足元では石油価格が7年ぶりの高値を記録、ドル/円の為替は4年ぶりの円安を記録しています。石油を輸入に頼っている日本では石油価格の上昇と円安のダブルパンチを受けて、AS曲線は大きく左上にシフトしていくことが想定できます。(例えば、石油価格高と円高が同時に起きれば、石油高分を円高で相殺することができます、即ち円建てでは石油価格の変動が小さいということです。)

石油[ドル] 為替[円/ドル] 石油[円]
基準 70 110 7,700
石油高・円安 80 113 9,040
石油高・円高 80 100 8,000

物価は上昇するもののGDPは減少してしまうため、供給ショックが起こるとよくない物価上昇(インフレ上昇)となってしまいます。

コロナショック時に起こったこと

コロナショック時には需要ショックと供給ショックがともに起こっていました。需要サイドでは緊急事態宣言等による外出を初めてとした外食、旅行等の自粛による需要減少、供給サイドではサプライチェーンによるマスク等の在庫不足により供給減少が起こりました。所謂、AD曲線が左下にシフト、AS曲線が左上にシフトし、物価の変化は殆どなく、GDPが低下することになります。

供給サイドは時間の経過とともにサプライチェーンの回復等もあり、自然に回復しました。(AS曲線がもとに戻る)

需要サイドの回復はまだまだであり、GDPも回復しておりません。コロナショック前に状況に戻すためにはAD曲線を右上にシフト、即ち、需要サイドの回復が必要になります。そのため、今後の政策では需要を刺激する政策(Go to travelも選択肢の1つ)が必要になっていくと考えています。

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