マクロ経済学 ~コロナ禍を振り返る~

経済

こんにちは!ぐんじです。

コロナ禍のGDPや失業率等からどのような政策がとられたのか考えていきます。

GDPギャップの拡大は大きいが、失業率は想定された数値よりも低い

前回にはGDPギャップと失業率には負の相関関係(GDPギャップが広がると失業率は高まる)があることを説明しました。コロナショック時はGDPが大幅に減少し、GDPギャップも広がり(絶対値が大きく)ました。そのため、GDPギャップと失業率の関係から失業率が高くなることが想像できます。

コロナショック時はGDPが大幅に減少し、GDPギャップも広がり(絶対値が大きく)ました。そのため、GDPギャップと失業率の関係から失業率が高くなることが想像できます。

GDPギャップと失業率にはオークンの法則というものがあり、日本では失業率の変動=0.26×GDPギャップという関係が成り立ちます。ここでの0.26というのは経験則から算出されたものであり、国ごとに異なることに注意が必要です。

オークンの法則を用いると、最もGDPギャップが拡大した2020年3月のGDPギャップから半年後の失業率は5%程度まで増加することが予想することができます。(2020年3月のGDPギャップが▲10.3%、失業率が2.5%であったため、半年後の失業率=0.26×10.3+2.5=5.2%と理論的な予測をすることができます)

しかし、半年後の失業率の実績値は、3.0%と想定した失業率よりも抑えることができています。

失業率が高くならなかった理由

本来、失業率が5%程度まで増加してもおかしくなった状況下で、2020年9月(半年後)の失業率の実績値は3.0%と想定した失業率よりも抑えることができています。

理由はわかりやすく実際のGDPと潜在GDPのギャップを埋めるために財政支出を拡大した(補正予算を組んだ)ことになります。具体的には1次から3次の補正予算で100兆円程度の財政支出をしています。2020年3月以降のGDPギャップを見ていくと20~30兆円程度を推移しており、補正予算もGDPギャップを基に組まれていたことわかります。

なかなかマスコミでは取り上げられないことですが、これは間違いなく政府の成果といえることです。また、岸田総裁の発言からも今後、数十兆円の財政支出をすることが考えられる。これも未だにGDPギャップが20兆円あるためでもあります。

豆知識

帝国データバンクの情報によると2020年は、全体では2年ぶりの倒産件数の減少、業種別でみても全業種で減少という結果となっています。(参考:帝国データバンク 倒産集計)

業種別にみると、全業種で前年を下回った。建設業(1266件、前年比10.5%減)は公共工事や通信インフラに関する工事の受注が堅調だったことから、職別工事・総合工事が減少し、過去最少となった。また、卸売業(1041件、同13.7%減)は、自動車・同付属品卸(32件)などで減少が目立ったほか、木材・建築材料卸(61件)、貴金属卸(16件)は過去最少となった。
一方、サービス業(1872件、同5.2%減)では宿泊業(127件)が前年比76.4%の大幅増。小売業(1879件、同3.4%減)では飲食店(780件、同6.6%増)が過去最多となった。

この結果は、雇用助成金等の手厚い政府支援があったことや金融機関も積極的に融資を行っており、中小企業の資金繰りを支えているためであると考えられます。

全国信用保証協会連合会の信用保証の実績を確認すると保証承諾は前年比392%、一方で代位弁済は71%と減少しています。(参考:全国信用保証協会連合会 ご利用状況)

今後、政府に期待したいこと

これらの政府のサポートは、有事の際に景気を悪化させない策としては素晴らしいものであると考えています。一方で、本来倒産するべき企業にも補助金や融資を行っているため、ゾンビ企業の数が増えていると推定できます。

そのため、今後のポイントしては、政府としてはコロナ影響回復後にどのような政策(出口戦略)を取り、ゾンビ企業の倒産による失業率の増加させないかになると考えています。そのため、国民や企業にお金を配るというステージは終わり、お金をどのように使ってもらうかということを考えていかないといけないステージへ移行していくと考えています。(もちろん増税は愚策です)

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